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儘にならぬは浮世の謀り

主に映画の感想を呟くための日記

映画感想:ジャージー・ボーイズ


映画『ジャージー・ボーイズ』予告編 - YouTube

 

恒例の簡単な感想から、

大傑作の音楽映画!

といったところでしょうか。

 

 とにかく、音楽が好きで好きで仕方なくて、そして、音楽に携わったスターたちが好き好きで仕方ないことがよく分かる映画だと思います。なによりも、ステージや音楽を弾いているシーンでの、描写、撮り方がよく出来ています。ちゃんとあの時代の音楽の興奮というものを、観客に伝えられていますし、この映画を見た観客はあの時代の興奮というものを理解することが出来ると思います。

 クリント・イーストウッド、すごい監督だというのはとっくに分かりきっていることなのですが、それでもやっぱり、恐ろしい老監督だと思います。一回、監督引退するとまで宣言して、それくらい十分に老けこんで、それでいながら、まだこんなすごい映画を相変わらず撮ってしまうのかと。しかも、この映画、これだけ懐かしい年代の、懐かしい衣裳で描かれているにもかかわらず、「非常に活き活きとした若い映画」という印象を抱くと思います。仮に「二十代の変わった新人監督が、これを撮りました」と言われて、この映画を鑑賞しても、違和感はないんじゃないでしょうか。それくらい、個々の描写や、撮り方等が、非常に今っぽいと思います。

 これは言ってしまえば、世の中の流行りが一周も二周も三周もしてしまい、むしろ、この時代の音楽や服装が、現代の流行りと一致してしまっているというところもあると思います。また、そもそもとして、二十代である、自分の世代のような人間が、この時代に強い憧れを抱いているというところもあると思います。ですが、それを差し引いても、カメラの撮り方といい、周囲の美術といい、話の展開の早さといい、現代っぽいのです。

 また、内容自体も――言ってしまえば――フランキー・ヴァリが所属していたフォーシーズンズの紆余曲折を描いたという、ただそれだけなのです。が、その中にあった、各メンバーの複雑な思いや、人間的なすれ違いの描き方。各々個人が抱えていた鬱憤や悩みを、メンバー全員が集まって、ワーッと言い合わせる構成などは、どちらかというと今の映画の手法であると言えます。

 物語の語り方としても、少し不思議な手法が取られているというか「ちょっとだけメタな部分もありつつ描かれていくドキュメンタリータッチ」で、時折、観客に向かって、フォーシーズンズのメンバーたちが語りかけてくるような手法が取られています。ある意味で、映画としては反則技に近いような手法なのですが、意外や意外、これが不思議とこの映画には合っていて、むしろ、映画として「妙な面白さ」を醸し出しています。メタな描き方のおかげで、ちょっとマジック・リアリズムの気配が入っているのです。

 このマジック・リアリズムな気配も、最近の映画によくある傾向かなと思います。特にポール・トーマス・アンダーソンや、ニコラス・ウィンディング・レフンなどがそうだと思いますが。

 なので、古い時代を描きながらも、どこか実感としては、新しい感覚がするという、ジャージー・ボーイズはそんな不思議な映画でした。そして、そんな不思議な魅力のある映画だからこそ、一層、あの時代の栄光が、より、きらびやかな印象になって残るのでしょう。

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