儘にならぬは浮世の謀り

主に映画の感想を呟くための日記

映画レビュー:ダーククリスタル

ダーククリスタル [Blu-ray]

 ※予告動画を見つけられませんでした。

 かつては緑と善に満ちていた異世界だったが、その世界の平穏を守っていたクリスタルが割れ、かけらが失われたことで、邪悪なスケクシス族と善良なミスティックス族が誕生。争いが生まれ、クリスタル城はスケクシスに乗っ取られてしまう。世界は枯れそうになっていた。
 そんな世界で、ミスティックス族のいる谷で暮らしているジェン。彼は、スケクシスによって滅ぼされたゲルフリン族の生き残りである。ジェンは予言にある、世界の試練を試される存在であり、クリスタルのかけらを見つけ、世界を救わなければならない。
 そのことをミスティックスの長老に告げられた、ジェンは、谷を旅立つ決意をする。
 ジェンのクリスタルを取り戻す旅が始まった。

  ファンタジーものというジャンルは、一見すると一様に似たような内容であるように見えますが、実際は、様々な種類が存在しています。物語のあらすじ自体も、いくつかの型に分かれ、更に設定や世界観にも分類があり、ある作品は「明るさや美しさ」が強調されていたり、ある作品は「暗さやグロテスク」が強調されていたり、作品の雰囲気自体にも、かなりの差が存在しています。SFやミステリーのような他のジャンルでも、同じかもしれませんが、特にファンタジーは、この差異が極端に違うのが特徴的だと言えます。

 ダーククリスタルは、そのうち「グロテスクさ」に強く傾倒している映画です。

 この映画の面白さは、なんといっても、映画に出てくる異世界の種族たちの造形でしょう。この映画には、様々なまったく地球上に存在していない生物が次々と出てきますが、この造形が、なんともグロテスクで、なおかつ、どこか愛くるしい仕上がりになっています。

 例えば、途中、主人公が訪れる森のシーンにおける、奇天烈な生物たちが繰り広げる生態系の様子は、人によっては見ていると鳥肌が立ってしまうかもしれません。敵であるスケクシス族も、単にトカゲが二足で佇立しているだけではなく、肌に宝石のようなものが埋め込まれてあったりして、絶妙に汚らしいのです。それは、彼らの食事シーンでも存分に演出されています。

 主人公のゲルフリン族も、確かに美形に造形されているものの、単純に美しいかっこいいという容姿ではないです。素直に美形なんだと、頭に言い聞かせて飲み込むには、少し抵抗のある容姿という印象を受けることでしょう。

 しかし、だからこそ、この映画の美術は好きな人にはたまらないものでもあります。例えば、ネット上で奇妙な姿の生物を検索して面白がっている人。虫などを見ていて、基本的には、気持ち悪さを覚えながらも、それと同時に、どこかかわいいなと思ってしまう人。そんな人たちにとって、この映画は最高の映画に見えることだと思います。

 監督はジム・ヘンソンフランク・オズジム・ヘンソンといえば、この手の人形造形の巨匠です。その、ジム・ヘンソンの手腕とイマジネーションが見事に発揮されている映画です。

 

 また、この映画はそういったグロテスクなものが好きな人だけではなく、ゲームが好きな人にも実はオススメが出来る映画でもあります。なぜなら、各所の描写が「ゼルダの伝説」シリーズにちょっと似ているからです。偶然かどうかは定かではありませんが、主人公が楽器を使うところや、ミスティックス族の谷の全景、オーグラの家の様子など、あのゲームシリーズが好きな人が見たら「あ!」と思うような美術や造形や設定がそこかしこにあるのです。

 

 興味を持った方はぜひ鑑賞してみてください。

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