儘にならぬは浮世の謀り

主に映画の感想を呟くための日記

映画レビュー:チャーリーと14人のキッズ

チャーリーと14人のキッズ [DVD]

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※予告動画を見つけられませんでした。

 

 チャーリーは、仕事熱心で家庭を顧みない父親だったが、ある日、仕事をクビになってしまう。信じられないほど高い保育園に息子を通わせていたチャーリー。仕方なく、他の保育園を探そうとするが、他の保育園は、トレーラーハウスだったり、農園の地下だったり、警察に包囲されていたりで、ロクなものではない。
 結局、息子を通わせる保育園は見つからず、仕方なしに自宅で息子の世話をすることになる。仕事もないまま、煮え切らない状態で毎日を沈んで過ごす、チャーリー。ある日、公園で息子を遊ばせ、元・仕事仲間たちと喋り、息子の遊んでいる姿を見ているうちに思いついた。
 自分が保育園を立ち上げればいいのではないか。街にはロクな保育園がないので、需要がある。マトモな保育園を作れば儲けられるのではないか。
 チャーリーは、自分の家を保育園にすることに決めた。
 早速、チラシを配って、子どもを募集するチャーリー。
 ぽっと出の小さい保育園には、変わった子どもばかりが集まってきて――

 

 相当、軽いノリのコメディ映画ではあると思います。ワンシーンワンシーン、小さい小ネタが連発される形式の映画であり、コメディ映画としても、深い方のものでもないのは間違いないです。主演はエディ・マーフィと聞いた時点で、人によっては「あぁ、あの手のコメディ映画か」となるかもしれません。そして、実際、その予想を一切、良い意味でも悪い意味でも裏切りません。
 とにかく、その場のシーンが面白ければいいやという映画で、正直、話だけに着目すると、そんなに面白い話ではありません。ハッキリ言っていろいろな場面がテキトウですし、雑です。行き当たりばったりで話が進んでいる印象は否めませんし、その証拠に、チャーリーの妻であるキムが、物語の冒頭以外にはほとんど登場してこなかったりします。
 ですが、この映画は、多少話が雑でも、映画としては微妙なところがあっても、それでも全体としては面白いのです。なぜか。この映画は前述のあらすじのとおり、保育園がテーマの映画です。当然、多くの子どもが登場しますが、この子どもの捉え方が実は非常に上手いのです。
 まず、子どもの演技していない姿をなるべく撮ろうとしています。いくつかのシーンは、子どもの完全なアドリブを撮っているのではないかと思われるシーンもあったりします。エンドロールのNGシーン集を見ても、それは明確です。
 この子どもの姿をちゃんと捉えているというのが意外と、この映画のミソになっています。言うまでもなく、この映画の主役は子どもです。だからこそ、いかに子どもを子どもっぽく捉えることができるかによって、物語のセリフの説得力が変わってくるのです。そして、そこに成功しているこの映画のセリフには、これだけ適当な内容にもかかわらず、一定の説得力があります。しかも、話だけで見ていくとそんなに面白くないのに、子どもを子どものまま捉えているおかげで、実際の映画を見ると、笑ってしまうのです。

 子どものパワーが強く炸裂している映画が本作だと言えるでしょう。

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