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儘にならぬは浮世の謀り

主に映画の感想を呟くための日記

映画感想:悪党に粛清を

映画感想 辛評


6/27(土)公開 『悪党に粛清を』本予告 - YouTube

 

恒例の手短な感想から

面白いけど、なんだか違う…

といったところでしょうか。

 

 まず、断っておきたいのは決して悪い映画ではないということです。極めて、話の筋書き含めて真っ当な映画として作られています。この予算規模の映画で、これだけ面白いものが作れるのは十分に素晴らしいことです。それくらいに、楽しめる映画ではあったのです。

 ですが、この映画には一つ大きすぎる枷が嵌められています。それは西部劇です。西部劇として見た場合、この映画はどうかと言われると、微妙な評価になってしまう面が少なくともいくつかあります。

 話自体は、ちゃんと西部劇的なものになっています。というよりも、この映画において、なにが一番西部劇っぽいかと言われると、この「話の筋書き」になると思います。主人公が復讐を抱くようになるまでの過程や、悪党たちの行っている悪政、それに反抗もせずに甘んじる保安官と町の人たち等々、様々な西部劇の「いかにも」な設定と展開を詰め込んでおり、最後の銃撃戦前に出てくるモノなど含めて、ジョン・ウェインが活躍した正統な西部劇や、イーストウッドが活躍したマカロニ・ウェスタンまでオマージュに含んでいることがよく分かります。

 が、逆に言ってしまうと、西部劇っぽいのは話の筋書きのみなのです。他の要素は、西部劇的かというと――いえ、これを西部劇というのは無理がありすぎます。本作は、ウェスタン・ノワールという宣伝文句を付けられていますが、この奇妙で苦しい言い訳のような宣伝文句からも分かるとおり、西部劇というにはどうにも雰囲気が違うのです

 特に決定的なのは、カメラワークでしょう。極めて現代的なカメラワークです。特にピンぼけの画面での長回しをOPにして、映画が始まるところなんて、いかにも現代の映画だと言えます。途中の暗い夜のシーンをCGで済ましているところや、銃撃戦でスパイ映画のようなスニーキングを始めてしまうところなども、西部劇かというとまったく違います。ただ、スパイ映画のようなスニーキングをし出すところは、まだそれはそれで独特の面白さがあっていいのですが、とにかくカメラワークに関してはどうやっても擁護が不可能なほどダメです。

 主人公の悲しみを表現するために、わざわざ泣いている主人公の顔を、ドアップにした上に、更に少し寄って目元を映したときには、もうどうしようもない焦燥感がこみ上げるほどでした。普通、西部劇の映画で、こんな表現をしてしまったら野暮でしょう。西部劇やハードボイルド等の画面のなにが格好良いのかを分かってなさすぎです

 

 実は今の映画は、話の筋書きよりも”画面のクオリティ”が弱点になりつつあるのではないか、そんなことを実感させる一作でした。

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