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儘にならぬは浮世の謀り

主に映画の感想を呟くための日記

記事:マジカル・ガールが思ったよりも普通の出来だったので、代わりに、日本文化を取り入れた海外映画挙げてみます。

 今月は「マネー・ショート」と「マジカル・ガール」、二本の記事を上げ、なおかつどこかで見繕った映画を一本紹介しよう、という予定だったのですが、あまりにも、マジカル・ガールが話題性のわりに内容が普通すぎたので、ちょっと急遽、新しい記事を書きました。

 題して「マジカル・ガールが思ったよりも普通の出来だったので、代わりに、日本文化を取り入れた海外映画挙げてみます。

 

 別に日本のカルチャーを取り入れた海外映画は、マジカルガールだけではありません。マジカルガール以外にも、そういった映画はちゃんとあるのです。特に自分が、人に勧めたいと思っている映画もありまして、それがこちらになります。

 

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 まるで、18禁映画のような、アレな邦題を付けられてしまっている本作ですが、実は中身はまったくそういった類のアダルト映画ではありません。もちろん、このジャケットが示すように、かなり裸がよく出てくる映画でもあります。ですが、普通のアダルト映画からすると相当に一線を画する内容になっています。

 というか、実は、これ芸術映画です。

 なにせ、本作、ノーベル文学賞を貰った川端康成の、傑作デカダンス文学「眠れる美女」を映画化した作品ですから。ただ、川端康成の映画化とはいえ、内容はだいぶ変わっています。

 まず、舞台が日本ではありません。まったく違う国に変更されています。そして、全体的にテイストがとてもヘンテコです。原作の眠れる美女は、まあ、前述したようにデカダンスな小説であり、特に老いに対する憂いが強調される内容となっていましたが、本作は……これが、なんとも不思議な塩梅で仕上がっています。

 もちろん、原作を無視しているわけではないのです。しっかりと、老いへの憂い等々の要素は出ているのです。ただ、全て、原作と比べると薄味になっています。それもそのはずで、そもそも、この映画は原作とは主人公が違うんです。

 原作は、老人が主人公でした。老人の視点から、若く瑞々しい女の子を見て、それと自分を比べてどうだ、という作品です。ですが、この映画では、原作の最後に出てくる白い娘――彼女を主人公としているのです。

 実のところ、川端康成の「眠れる美女」を映画化した作品はいくつもありますが、本作はここが決定的に、他の作品と違うものになっています。

 この微妙な視点の違いによって、この映画は、極めて難解ですが、しかし、ずっと見ていると「なんなんだ、この映画は!?」と言いたくなるほどの不思議な感触を覚える映画となりました。

 この映画は、全てが薄味です。主人公が見せる感情も、話の流れも、人間模様も、全てがなんだか薄味に感じられる映画なのです。ただ、薄味といっても「味がない」わけでもありません。じっと本編を見ていると、そのうち、なんらかの味も感じられるようになります。ただ、独特すぎて、具体的にその味を言葉で表現することが出来ないのです。

 

 また、川端康成原作というだけでなく、なぜか、主人公がカレッジで受ける講義の内容が「囲碁」で、教授が本因坊の打った一局を解説していたり、主人公の飲む睡眠薬がどう見ても抹茶だったりと、いろんな場面でシュールに、日本文化がサラッと扱われていたりします。

 この日本文化のサラッとした扱い方は、ある種、マジカル・ガールと同じで”ひけらかし”に見えなくもないのですが……なんといいますか、前述したように、この映画、異様に薄味に感じるように作られており、どんなものが映画上で出てきてもことごとく薄味なテイストなので、”ひけらかし”でさえも、薄味に感じてしまい、あんまり気にならなくなってしまうのです。

 本当に不思議な映画です。 

 

 日本文化が入っている、ヘンテコな海外映画はないかと聞かれれば僕は、まず間違いなく、本作を挙げるでしょう。

 以上です。

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