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儘にならぬは浮世の謀り

主に映画の感想を呟くための日記

2016年上半期映画ランキング

ランキング

 気がついたら、今年も上半期がとっくに過ぎましたね。自分は今、ようやくそのことに気が付きまして、少し遅ればせながら、恒例の上半期新作映画ランキングを投稿したいと思います。

 今年の上半期ランキングはだいぶ悩ましい結果になりました。自分があまり映画館に足を運べていなかった、というのもあるのですが、それに加えて「ランキング入り決定レベルの"良い映画"があまりにも方向性に違いがありすぎて比べるのが難しい」「期待して、観に行った作品が期待ハズレの現象にかなり遭遇した」という二つの点からも悩みました。

 結果、今年も10位までのランキングが作れませんでした。

 

 そんなこともあって、今回の上半期ランキングはかなり暫定的です。

 毎年、基本的には上半期ランキングを、年末のランキングにも地味に反映させていたのですが、今年はちょっとそうはならないかもしれません。

 

 前置きが長くなりました。

 では、カウントダウン形式で8位から。

8位 海よりもまだ深く

harutorai.hatenablog.com

  良い映画です。良い映画だと思うのですが、作り手の主張が正直な話「ウゼーよ」としか言いようが無いほどに押し付けがましいところがマイナスで、8位どまりです。この映画だけは、他と違って分かりやすく自分の中で順位を下げていい理由があったので、順位はわりとすぐに決まりました。

 

7位 ブラック・スキャンダル

harutorai.hatenablog.com

 結構、記事では褒めているのですが、ランキングでは7位に終わってしまいました。これは全て後述する『日本で一番悪い奴ら』のせいです(笑)いやー、やはり、似たような題材でより深くテーマを掘り下げて、上手く表現してる映画見せられてしまうと、どうしても、評価下がっちゃいますよ。

 

6位  ちはやふる -上の句-

harutorai.hatenablog.com

  記事自体は「下の句」のものですが、中で、上の句がいかに良かったかを論じてもいるので、一応、貼り付けました。本当に「上の句」はかなり面白かったんです。文句がないでもありませんが、でも、その文句の出る部分にも一応それなりに理屈とかは入れてあったりするんですよね、上の句では。

 やはり一定評価は出すべきかなと思います。それくらいの映画です。

 で、前の二作よりも順位が高いのは……うーん…将来性があるのは、たぶん前の二作よりもこっちだから、でしょうか(笑)

 

5位 アーロと少年

harutorai.hatenablog.com

 なぜかこっちは見ているのに、あれだけ話題になっているズートピアの方はまったく触れる気にもならないんですよね、自分。なんででしょう?……ともかくとして、この映画が特に評価すべきポイントは「古い時代の映画の復権を最も成功させた映画だから」に限ります。

 パディントンとか、007とか、ピーナッツとか、どいつもこいつも、片っ端から失敗していったこれをスマートに、現代的に復権させた本作はそれだけで評価に値します。もう一つ、自分はディズニーのラリった映像が大好きなんです。

 

4位 ミラクル・ニール!

harutorai.hatenablog.com

 テリー・ジョーンズが監督している、最後のパイソンズ集結映画だというのに、映画ファンからそっぽ向かれてしまっている本作ですが、内容は普通に面白いんです。本当です。かなり面白いです。やはり、映画ファンとしては、これをランキングに残さないのはあり得ないです。ということで、この高順位です。

 なおかつ、単純な面白さのみが席巻している映画ではないことは記事でも論じました。で、なぜ、誰もこれを見ないのでしょうか。

 

3位 アイアムアヒーロー

harutorai.hatenablog.com

  まさか、この映画が自分のランキングで、こんな順位に踊り出るとは……去年の自分にはまったく予測出来なかったと思います。確実に失敗すると思っていましたから。しかし、蓋を開けてみれば、なんと百点満点の出来――というか、正直、満点を超えるレベルの傑作――で、なおかつ、どこか身震いのする怪作でもあるという、化物映画が誕生していました。

 単なるゾンビ映画でなく、実はゾンビ的な展開をし始める前の日常シーンも、人間模様やセリフ回し等が相当クオリティ高く作られているのも評価高いです。そして、なにより記事では論じませんでしたが、ラストの、とても皮肉げなタイトルの出し方が素晴らしすぎて、あれを思い返すだけでも鳥肌が立ちます。

 自分が殺めた人たちの血で汚れた手を見つめながら、名前を尋ねられて主人公が、「ヒデオです。ただのヒデオです」と言って…じわりと出てくる「アイアムヒーロー」の題――この痛烈な皮肉!何度考えても、完璧です。この終わらせ方以外にこの映画は終わらせようがありません。

 本当になぜ、このスタッフ陣でこんな映画が出来てしまったのか…未だに謎です。

 

2位 日本で一番悪い奴ら

harutorai.hatenablog.com

  対照的にこちらはだいぶ前に映画館に流れていた予告編からして「絶対に、面白かったら今年の順位のトップに入ってくるな」と予感していた映画です。で、案の定、上半期ベスト2です。素晴らしかったです。ブラック・スキャンダルの内容が霞んでしまうほどに。

 誰か一人が極端に暴力的だったり、誰か一人が極端に悪役だったりするわけではありません。この映画では誰もが当たり前の人間として描かれています。当たり前とは、つまり、当たり前に欲を持ち、当たり前に倫理観を持ち、当たり前に人と交流する――そういった普通の人間がひたすら出てくるだけなのです。

 しかし、本作は、その普通の人間たちがなによりも怖いのです。なによりも何を考えているのかまるで分からず、どこまで本気で正義を唱えているのか、どこまで本気で儲けるつもりだったのか、どこまで本気で信頼しあっていたのか、全てが曖昧なのです。だからこそ、なんだか恐怖を感じます。

 次の瞬間に、登場人物たちが裏切り合わない保証もなければ、誰かが誰かを殺さない保証もない中で、杜撰な計画とともに組織が機能していくという――闇の中を行脚するような恐ろしさで充満した映画でした。

 

1位 オデッセイ

harutorai.hatenablog.com

  かなり悩んだ一位です。というか、これを上半期の一位としてしまって良いのか、未だに悩んでいます。ただ、面白い映画だったのは事実です。そして、記事でも論じたとおり、既存のSFに対して一つのアンサーを出した映画であるのも間違いないのです。この部分は文句なく評価できます。

 また、映画と関係ないこちらの事情を言ってしまうと、結構、このブログ始まってからというものの、ランキングの上位をあんまりポジティブではない映画ばかりで埋まってしまうことが多く、ならば、一回くらいはこれだけの脳天気ささえ感じさせるほどのポジティブ映画が一位を取っても良いんじゃないか、という判断もありました。

 いろいろ含んでの、一位です。

 あと、なんだかんだ言って、どこか馬鹿馬鹿しいのが好感あるんですね、この映画。記事でも論じましたが、真剣に真面目なことをやっているのに、なんだか馬鹿馬鹿しいという絶妙なバランスがとても良いのです。ついでに言えば、記事では論じませんでしたが、クライマックスのシーンも僕にとっては良かったですね。「あのリドリー・スコットが、日本のアニメか!(というかガンダムXか!)と突っ込みたくなるような、宇宙空間で男女がクルクル~って回り合う絵面を、本気で映像化するなんて!」という衝撃……(笑)

 僕はこういうことを真剣にやる映画は結構好きです。

 

 以上が、上半期のランキングになります。

総評

 ランキング全体を見ればなんとなく分かると思いますが、今年、ちょっと洋画に危機感を覚えています。もちろん、自分があんまり話題作を見に行けていないという部分もありますが、それにしても、ある程度期待して観に行った作品がどれもこれも、明らかに駄作という状況には恐々とします。

 それこそ、2年ほど前ならば自分が評価していない映画でも「エンターテイメントとしては、十分上出来」という映画が多かったように思います。しかし、今年の上半期に公開された洋画はどれも「エンターテイメントとして見ても、明らかに駄作」という映画が多く、辛うじて、それなりに見れる出来のものも、凡作という評価しか当てはまらないようなものばかり……。

 このブログで取り上げてない新作で言えば、例えば『神様メール

 この作品も本当にひどかったです。この映画、端的に言って、フェミニズム失楽園をやろうとしている映画なのですが、ハッキリ言って、この映画の最後で描かれる女性の神が支配する世界は、おそらく女性の中でも「こんな頭がパーな世界で暮らしたくない女性もいるって分かってる?!」と絶叫したくなる人が出てくるような世界で、本当に誰得で作ったんだか分からない、作家の自己中な願望が見える映画でした。

 

 その他、ブログで論じた洋画も上記、ランキングに上げたもの以外はどれもこれも、とてもではないけれど、2年ほど前のクオリティからすると「堕ちるのが早過ぎるだろ!」とツッコみたくなる出来でした。

 特に深刻だと思うのは、ヨーロッパ映画のハリウッド化です。どうも、欧州映画が最近、妙にハリウッドみたいなことをやりだすようになっていて、これが全て、とにかく出来が悪いんです。ハリウッド映画の中でも、低予算で作られた二束三文のハリウッド映画に近い出来に全ておさまっています。

 EU問題といい、現在のヨーロッパは、水面下でとんでもなく腐敗したなにかが潜んでいる気がします。

 

 対して、思った以上に善戦したのが邦画です。

 ハッキリいいます。今年は案外に邦画がクオリティ高い公開作の多い『当たり年』です。上記のランキングを見ても、半分を邦画が占めていることからも分かる通り、今年は探せば面白い邦画がどっかに転がっている状況です。

 もちろん、相変わらずアレなクオリティの、論外映画は量産されたりしていますが、数年前の「相当に慎重に吟味しないかぎり、フラッと見に行けばだいたいクソ映画」という状況からすると目覚ましい改善です。ネット上の論壇は、ハッキリ言って5年ほど遅れる傾向があるので今更になって、アチコチで「邦画はつまらない」だのと言い出していますが、現実は、5年ほど前の酷い状況からはだいぶ良くなっています。

 実写化映画も、今年の上半期は面白い出来の映画が多かったですし。

 自分は、つい劇場公開を見逃してしまった幾つかの作品も後でレンタルリリースでもされたときに、ちゃんとフォローしておこうかなと思えるほどには今年の邦画悪くない感触を持っています。

 下半期に公開される映画がどうなるのかは謎ですが(特に個人的には「聖の青春」が大丈夫なのかと不安なのですが)ともかく、上半期に関しては邦画の今後が明るく見えてくるような2016年でした。

 

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