儘にならぬは浮世の謀り

主に映画の感想を呟くための日記

映画感想:TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ


『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』予告編

恒例の手短な感想から

ハイテンション!ツッコミどころ満載!けど、傑作!

といったところでしょうか。

 

 まず宮藤官九郎という時点で、そんなマトモな出来の映画なんてものは期待してはいませんでした。それどころか、あまちゃんブーム等を見てきた今でもなお、正直に言えば宮藤官九郎の能力に対する疑念は拭いきれていない状態の人も多いことだと思います。少なくとも、自分はそういう人間です。

 で、そんな人間が見てきた本作「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」ですが…普通に面白かったです。いや、「普通に」という形容詞はやっぱり外しましょう。この映画、どう見ても普通ではないですから。

 面白かったです。

 

 この映画、問題がないとは言いません。というか、問題だらけだと思います。まず脚本が相当に行き当たりばったりな部分があることは否めません。そして、言ってしまうとなんですが、結構、終盤がグダグダしているところもあります。グダグダの結果、なんだかものすごいご都合主義で話が強引に進んでいくところも多々あります。

 しかし、それでもこの映画には、それらの欠点を超えて余りある魅力が備わっているように思えるのです。むしろ、魅力の部分が勝っているおかげで前述の問題点があったとしても、まあ構わないかなと思える出来になっています。

 そういう意味では、このブログで少し褒めているけれども、キツめの評価もした「デッド・プール」と近い映画なのかなと思います。……宮藤官九郎はまさに90年代的な、露悪の感覚でずぅっと脚本を書いてきた人なわけで、当然といえば、当然なのですが。

 

 ただ、個人的にはデッドプールよりも圧倒的に「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」の方が好きです。

 

 理由はいくつかあるのですが、まずなんといっても、この映画、今までの宮藤官九郎と比べて考えてもハイテンションすぎるところがいいです。もう最初から最後まで、ずぅっとお祭り騒ぎが続く映画となっています。ちょっと悲しげな空気になって…とか、ロマンチックな空気になって…とか、ちょっと深刻な空気になったりして…みたいなことが一切ありません。

 確かに映画上では、深刻な事態や悲しい事態が次々起こっていくのですが、それも全てお祭り騒ぎ状態の中で、お祭りの狂騒感を保ったまま起こっていくようになっているのです。

 この映画、実は「ミュージカル映画」なわけですが、この延々とお祭り騒ぎしている感じというのは、非常に「ミュージカル映画」というジャンルと相性がいいのです。リトルショップ・オブ・ホラーズなどもそうでしたが、ミュージカル映画は登場人物が少し狂ってるくらいのテンションでいるほうが、不思議と面白いことが多いのです。

 

 そして、なによりもオチの付け方がだいぶ素晴らしいものでした。自分はてっきり予告編を見たときは「どうせ、主人公が無事に生き返って、高校生続ける的なオチなのだろう」と思っていました。おそらくこの映画を見ていない人は、そう今も思っていることでしょう。

 が、これがまったく違うのです。

 ネタバレになるので詳しくは語れませんが、相当にいろんなことを突き詰めたオチを用意しています。オチに持って行くまでの過程は酷く強引で、最後のシーンを見るまでは「こんな無茶苦茶なオチの持っていき方ってありなのか?」と思えてしまうほどだったりしますが、それでも、このラストシーンは素晴らしいです。

 予告編から見ても分かる通り、いかにもむっさい男のための映画なわけですが、最後のシーンで、実はこれがとても美しい愛についての物語であり、そして、人生を描いた映画であったことに、ハッと気付かされるのです。

 そう、強引な方法であっても、この映画はこのオチでなければいけなかったのです。このラストシーンを、どうやってでも描かなければ、ここまで評価できる映画にはならなかったはずです。

 

 それくらい、久々に心にグッと来ました。

 ラストカットを、インコが飛び立つ姿で終わらせるのもいいですね。「誰がどこに飛び立っていったのか」がよく分かります。そして、それを理解したときに言い表せない感慨が胸を打つのです。

 宮藤官九郎、やりますね。こういう真っ当な比喩表現が出来る人だとは思っていませんでした。

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