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儘にならぬは浮世の謀り

主に映画の感想を呟くための日記

雑記:カレル・ゼマン鑑賞マラソン「個人的なカレル・ゼマンおすすめ作品」

 月間の鑑賞作品を定期報告する記事を読んでいる人ならば、とっくに分かっていることと思いますが、実は、1月くらいから、ずっとアニメーション系の映像作家であるカレル・ゼマンの作品を見まくっていました。

 以下が、鑑賞作品になります。

・クラバート

・悪魔の発明

・ほら男爵の冒険

・鳥の島の財宝

・彗星に乗って

シンドバッドの冒険

・ホンジークとマジェンカ

・前世紀探検

・狂気のクロニクル

 以上、9作品です。カレル・ゼマンが撮った長編作品は、だいたい見てきました。(「千夜一夜物語」と、「盗まれた飛行船」は、入手するのが面倒臭すぎる&結構お高くつくのでやめました)鑑賞した理由としては、まあ「なんとなく見たくなったから」なのですが……。

 せっかく多くの作品を鑑賞したのですから、個人的に「これ、面白かったよ」というものをリストにしてみました。

 こちらです。

・彗星に乗って

・ホンジークとマジェンカ

・前世紀探検

・ほら男爵の冒険

 特に一番のオススメは「ほら男爵の冒険」です。

 それぞれの作品を、簡単に紹介していきましょう。

 

・彗星に乗って

 この作品は、ジュール・ヴェルヌの小説「彗星飛行」を原作としている長編作品です。

 「彗星が地球に衝突してきたとき、彗星に飛ばされてしまった人々がいて……」という、内容の作品で、全体的に筒井康隆的なSF寓話のテイストがものすごく強い作品となっています。

 実際、内容も「日本以外全部沈没」とか、あそこらへんの話を彷彿とさせる部分が多く、バカバカしいアイディアと、わざと形式的に描かれている戦争批判描写などが、楽しい一作で、そういう作品が好きな人ならば、間違いなくハマるでしょう。

 

・ホンジークとマジェンカ

 カレル・ゼマン、最後の長編作品がこちらです。晩期の、子どもの純粋な心というものに価値を見出したカレル・ゼマンが描いた切り絵アニメの一つであり、愛をテーマにした、シンプルな寓話ファンタジーです。

 カレル・ゼマンはもう一つ「クラバート」という、宮崎駿が「千と千尋の神隠し」でクライマックスをほぼパクったことで有名な切り絵アニメがあるのですが、個人的には「クラバート」よりも本作のほうが好きです。

 なんといっても、僕が思う本作の魅力は「悪役」です。メインの悪役として、とある国の王と王子が出てくるのですが、まー彼らが、"アホの子"で見ていて愉快なんです。

 ハチに刺され、治療の包帯でほぼミイラになっている王子と、ハチに刺されたくなくて兜を頭に付けてる王様が、食事しながら喋り合うシーンとか、バカバカしさと不気味さがよく出ていて最高ですよ。

 もちろん、本編をそのまま見ても面白いのですが。

 

・前世紀探検

 こちらは逆にカレル・ゼマンのキャリアの中でも、かなり最初の方に位置する実写作品です。「子どもたちが小舟で川を下って、時代を逆行し、昔の地球を探検しにいく」という内容の分かりやすく、子ども向けの一作となっています。

 本作の魅力は、なんていうんでしょうね。ディズニーランドのジャングルクルーズ的な面白さというべきでしょうか。それなりにヒヤヒヤしながら……しかし、人死とかそういうものはまったくなく、安心に進んでいく冒険譚の面白さがよく光っている作品です。

 しかし、川を下って時間旅行などのシュールなアイディアは、非常にカレル・ゼマンらしく、そういった魅力もよく引き出されている作品でもあります。恐竜たちの様相も当時の恐竜研究から考えると、かなり丁寧に作られており、恐竜映画としても優秀です。

 また、本作、イルカという少年を演じている子役が、現代から見ても良い演技をしているんですよね。無邪気というか、子供らしさがよく出ているというか。

 

・ほら男爵の冒険

 言わずもがな、法螺吹き男爵として有名なミュンヒハウゼン男爵を題材に、ジョルジュ・メリエス月世界旅行ジュール・ヴェルヌなどをオマージュしつつ、描かれたカレル・ゼマン版「ほら吹き男爵の冒険」がこちらになります。

 この映画は、個人的にはカレル・ゼマンの諸作品の中でも、一番秀でていると感じた一作です。なにが素晴らしいって、もうオープニングから素晴らしいとしか言い様がないのです。本作「ロケットを使って男が月にやってきたら、なぜか、そこに既に月世界旅行よろしく大砲で月まで打ち上げられた、ほら男爵がいた」という、SFとシュルレアリスムが融合した仰天の始まり方をするのです。

 確かに、ガーンズバックやら星新一やらも「ほら吹き男爵の冒険」を題材にしているため、SFとほら吹き男爵の融合は、それなりに普通のことなのですが、カレル・ゼマンはシュールの度合いが違うのです。なにせ、上記の冒頭も「ほら男爵」だけでなく、なぜか大砲クラブの面々やら、シラノ・ド・ベルジュラックまでいる始末……いや、ミュンヒハウゼン男爵とシラノ・ド・ベルジュラック、一瞬も接点ないだろ!……なんて、ツッコミを入れる暇もなく、そこから、次々と雪崩のように展開されていく、良い意味で頭のおかしい映像と物語たち。

 腹の底からおかしな笑いが止まらない作品です。実際、この作品の随所で出て来るアニメーションや奇天烈なイマジネーションは、明らかにテリー・ギリアムのアニメーションに影響を与えています。というか、これがテリー・ギリアムの全てと言ってもいいです。

 それくらいに強烈にシュールギャグが展開される作品なのです。

 しかも、だというのに、この映画は画面の画作りといい、演出といい、妙にカッコイイ場面まであったりするから恐ろしいのです。特に、大量の兵士をミュンヒハウゼン男爵が一掃するシーンは、悪夢のようでいて、しかし、同時にかなり格好良く、ここだけでも見て欲しいと思うくらいです。

 

 こんな感じです。いや、しかし、良い鑑賞マラソンになりました。

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