映画レビュー:ベートーベン
※恒例の予告動画ですが、今回は見つかりませんでした。
ペットショップで子犬として売りに出されていたバーナード犬はある日、ペットショップに入ったチンピラ二人組によって、ペットショップの他の子犬もろとも連れ去られてしまう。
辛くも、なんとか捕獲用のケースから逃げ出せた他の子犬に乗じて、その子犬もチンピラから逃げ出すことに成功するが、動きがとろいこともあってか、他の子犬とはぐれてしまう。
次の日になって、その子犬は迷い犬として歩き回り、偶然、ニュートン一家の、家の中へと入っていく。ちょうど、犬が欲しいと思っていた一家。父親のジョージは犬の世話が面倒なことを理由に、犬を飼うことに反対するが、家族に懇願されて仕方なく賛成する。名前を決める際、ベートーベンの運命に合わせて吠えたことから、犬の名前は「ベートーベン」に決まった。
ファミリー映画というのが、最近、少なくなっているように思います。ある一家を主役に据え、一家のドタバタを描いていく――そんなコメディ映画を最近めっきり見なくなったように思うのです。一時期は「粗製濫造されすぎ」というほど、作られていたジャンルでもあるのですが…。
そんなファミリー映画で、ホームアローンと並んで語られるものといえば、コレになると思います。
ベートーベン。
バーナード犬、ベートーベンを主役にしたコメディ映画で、当時は、かなりのヒットを記録し、続編も、何度となくつくられた映画シリーズの第一作目になります。
正直、ある世代より上の世代の方たちにとっては「あー、あの映画」となる程度には、有名な映画だと思います。……ある世代から下になるとまったく馴染みがないかもしれませんが。
実際、この一作目は面白いです。もちろん、いろいろご都合だったり、コミカルすぎて「これはちょっと……」というところもあったりはしますが、それらに目をつぶれば、非常に楽しめる映画となっています。
犬が主役の映画ですが、意外と、犬を単純に良いものとしては描いていません。ハッキリ言って、映画序盤はこのベートーベン、とても汚いです。汚いというのは、ズルいという意味ではなく、汚れているという意味です。大型のバーナード犬ということもあり、ベートーベンはしょっちゅう家を汚します。それもまあ、なにもかもをグチャグチャにしてしまうレベルで。
この、単に「動物はかわいい」というだけではなく、「動物ってすごく汚い」というところにまで注視して、それをコメディタッチで描いているところがこの作品の、なによりもの面白さでしょう。この描写がリアリティと説得力を作り上げているのです。
きっと、この「ペットのせいで家が汚れる描写」に、ペットを飼ったことがある人は共感を覚えてしまうことでしょう。
話自体は、極めて分かりやすく、単純明快と言っていいと思います。端的に言えば、そんなに頭を悩ませなくてもいい映画と言えます。(このような書き方だと、少し皮肉めいた言い方に聞こえてしまうかもしれませんが…)僕は頭を悩ませる映画も大好きですが、こういった、分かりやすい映画も大好きです。