儘にならぬは浮世の謀り

主に映画の感想を呟くための日記

2017年映画ランキング

あけましておめでとうございます。
新年になりましたので、2017年の映画ランキングを発表していきたいと思います。
2017年に鑑賞した、2017年の映画は以下となっています。

銀魂(実写版)
オリエント急行殺人事件(ケネス・ブラナー版)
スター・ウォーズ/最後のジェダイ
ゴッホ 最期の手紙
KUBO/クボ 二本の弦の秘密
猿の惑星:聖戦記
ブレードランナー 2049
アトミック・ブロンド
アウトレイジ最終章
ドリーム
逆光の頃
三度目の殺人
スキップトレース
ウィッチ
咲-Saki-
スパイダーマン:ホームカミング
スターシップ9
ジョンウィック:チャプター2
メアリと魔女の花
モアナと伝説の海
22年目の告白 -私が殺人犯です-
美しい星
SING/シング
帝一の國
無限の住人
ナイスガイズ!
わたしは、ダニエル・ブレイク
夜は短し歩けよ乙女
夜明け告げるルーのうた
ブルーに生まれついて
キングコング 髑髏島の巨神
武曲
LOGAN/ローガン
怪物はささやく
メッセージ
パッセンジャー
ムーンライト
ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険
ラ・ラ・ランド
虐殺器官
ドント・ブリーズ
ネオン・デーモン

それでは、この41本の中から、厳選してランキングにしていきましょう。

2017年映画ランキング

15位 ゴッホ 最期の手紙

harutorai.hatenablog.com

今年は15位の段階で、傑作がランクインしてしまうという異常事態です。
個人的には、ゴッホを題材にしている割に、実は画風があまりゴッホ的ではない、リアリスティックな画風であるところが若干惜しいような気もしていて、そこで順位を下げてしまいました。

14位 SING/シング

harutorai.hatenablog.com

 この映画も本当はこんな順位に据えたくないのですが……上が詰まりすぎてて、ここにしか収まりませんでした。いやー、音楽映画としては冗談抜きでここ十年の中で最も傑作と断言して良い出来なんですが、それがこの順位なのです。

13位 ウィッチ

harutorai.hatenablog.com

 例年なら、こんな順位に来るような映画ではないんですけどね。
 こんな順位にきてしまったのは、一重に自分がホラーを苦手としているからです。
 映画としては曇りのない傑作なので、それ以上の理由はありません。

12位 帝一の國

harutorai.hatenablog.com

 最近は意外と邦画の実写案件も「あれ、わりと良い映画じゃね?」ということが多くなってきましたが、本作も間違いなく、そのうちの一つに入るものでしょう。

 ネットの住人には実写映画を酷評して、周りを見下すことを惨めな趣味にしている方が多いので、こういう良作は本ブログとかが、ちゃんと拾い上げないとな、と思う次第です。

11位 無限の住人

harutorai.hatenablog.com

 ちょうどキムタクバッシングの風潮で、見ないまま本作をバッシングしたかった人たちと、一部の映画ファン層の「邦画はなんでも貶せばいい(※自分たちが信仰している映画評論家が誉めたもの以外)」という狂った風潮が合致して、叩かれてしまった本作ですが、アメリカでの好評を示すように映画としては、かなり良い映画です。もちろん、グロ全開なので人は選んでしまいますが。

10位 ナイスガイズ!

harutorai.hatenablog.com

 本作も、例年ならベスト5くらいに絶対に入れているんですが今年に限っては難しかったです。ここまで、ベタに話を作っていって、でも、非常に面白いなんて映画が、2017年に作られた事自体が驚きと言っていいでしょう。かなりエスプリを効かせたオチも良いものでした。

9位 わたしは、ダニエル・ブレイク

harutorai.hatenablog.com

 ここまで時事ネタな内容もないですが、同時にこの手の「時事ネタ」な作品の中では、一番的確な信念を持った映画と言えるでしょう。他の映画のようにありきたりな「チャリティ精神」――つまり、貧乏でも助け合えばいい、などという見殺しを容認しているだけの浅薄な思想を持ち込まなかったことを評価します。

8位 夜は短し歩けよ乙女

harutorai.hatenablog.com

 この映画も、普通ならベスト3くらいに食い込んでくる作品なのですが、今年に限ってはこの状態です。――まあ、湯浅政明監督作品自体に、もう一本更にすごいやつが公開されてしまいましたし、仕方ないという気もしますが。
 ともかくとして、本作は本当に素晴らしかったです。原作以上に原作の魅力をここまで引き出した上に、完全な湯浅政明テイストに落とし込みきった本作ですが、何よりもここまで最初から最後まで、観客に「疲れた」と思わせないままに、ハイテンションで貫徹しきれたことが素晴らしいです。

7位 ドリーム

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 本作も本来ならば、ベスト3に(略)。
 個人的に原題の「forbidden figures」をもっと活かした邦題にして欲しかったなぁと思うのですが、それを抜いても素晴らしい映画でした。この手の差別を扱った映画にありがちな「とにかく、絶賛される理由は映画の主張している部分ばっかりで、映画としての出来は……」みたいな状態ではなく、単に映画の出来としても素晴らしく、演出等々もオシャレに仕上がっていていることが良いのです。
 素晴らしい映画で、素晴らしい物語であれば、白人だろうが黄色人種だろうが、黒人の主人公の気持ちに共感することが出来るのです。僅かでも理解することが出来るのです。ただ、主張をスクリーンから居丈高に叫ばれるより、こちらの方が効果は深いでしょう。

6位 スパイダーマン:ホームカミング

harutorai.hatenablog.com

 本作も本当に素晴らしかったです。アメコミ映画ファンでも何でもない自分が、断言するのだから間違いないでしょう。最近のアメコミ映画は、神話的な要素が多すぎて、ヒーローものというより、ほぼただの現代ファンタジーであることが、どうしても納得行かなかった自分ですが、本作はまさにそんな人にうってつけの映画です。
 これぞ、ヒーロー。これぞ、ヒーロー映画だろうという部分を、本作はよく見せています。願わくば、このスパイダーマンは、アベンジャーズとは深く絡まないで、じっくりとこの路線でずっと行ってくれるとありがたいのですが……最近の洋画は、そういう期待を裏切ってきたりするんですよね、困ったことに。

5位 夜明け告げるルーのうた

harutorai.hatenablog.com

 基本的に映画においては、傑作しか作っていない湯浅政明監督ですが、本作はその中でも今までの集大成的な側面を持つ傑作と言っていいでしょう。何一つ理解できない話、意味が分からないシーン、最高にキマっている(クスリが)アニメーションの数々が多重に絡み、もつれ合って、最終的には訳が分からないまま、人の涙さえ誘ってしまうという、得体の知れない映画――それが本作です。
 ただただ、本作は言ってしまえば「斉藤和義歌うたいのバラッド最高じゃね? マジ最高! やべーわこの歌!」って言いたいだけの映画なのですが、その最高じゃね?と言いたい気持ちをひたすら詰め込むと、ここまでおかしい映画になってしまうのかと、湯浅政明の才能に驚愕するばかりです。

4位 スター・ウォーズ/最後のジェダイ

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 本作も実は「ルーのうた」とある意味では同種の映画だといえます。本作も、とにかく「フォースは偉大だ」と言いたいだけの映画なのですから、そして、そのフォースの偉大さを知らしめるために、ある一点の素晴らしい興奮のみに、映画の全てを委ねてしまっている作品なのです。
 しかし、だからこそ、自分は大きく評価したいです。ハッキリ言ってこんな映画は狙ってできる作品ではありません。というか、絶対、狙っていないです。ひたすら、奇跡によって、偶然出来上がった産物なのです。そんなものがスターウォーズシリーズの一つに入ってしまった――それだけで十分に素晴らしいではないですか。

3位 ブルーに生まれついて

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 いや、正直2017年のランキングの、しかもこんな上位に入れるのは心苦しいのですが……しかし、問答無用で素晴らしいので入れるしかありませんでした。これぞ、真のジャズ映画でしょう。自分はジャズを題材にした映画は(自分がそもそもジャズを志したものであることもあり)結構、鑑賞してきましたが、ここまで素晴らしいものは今まで見たことがありませんでした。
 本作はジャズの、音楽の大きな力と、そして、その大きな闇を描いているのです。素晴らしい音楽とはなんなのか、そこまでやって手に入れたものは果たして素晴らしいといえるのか――音楽に絡む、様々なテーマを巧みに暴いた本作をどうしても、音楽に生きたものとしてこの順位に入れたいのです。


1位 キングコング 髑髏島の巨神
1位 逆光の頃

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 この二作だけは、どうしてもランキング出来ませんでした。どんなにジャンルが違おうとも、どこまでテーマが相反しようとも、安易に「全てを一位にする」などという選択肢を選ばず、なるべく誠実に順位を決めてきた本ブログですが、この2つは無理です。
 自分にとってどうしても思い入れが最高に強い二作だからです。オールタイムベストに間違いなく食い込む二作だからです。
 どちらの映画も、人によっては「そこまでかな?」と感じる人もいることでしょう。どちらもそこまで筋書きが良く出来ているわけではないからです。しかし、この二作の映画は筋書きなど忘れさせてしまう何かが存在しています。おそらく、今年の映画では群を抜いて素晴らしい撮影を見せ、美しいビジュアルをこれでもかと詰め込み、人物の細かい所作一つ一つにまで拘ったであろうことが伺える演出など、どちらも自分にとっては、なにか大きな指針となる、金字塔となりえる一作だったのです。
 キングコングはこれから怪獣映画の金字塔として、自分が他の怪獣映画を見た時の評価の指針にすることでしょう。
 逆光の頃はこれからのドラマ映画の金字塔として、自分が他のドラマ映画を見た時の評価の指針にすることでしょう。
 なので、この2つはどうしても、順位を選べないのです。

 

総評

 今年は、良い映画と良くない映画の落差が激しすぎでした。
 良い映画は、問答無用で傑作級の出来栄えであり、良くない映画はことごとく「なんでそうなるの?」と言いたくなるような微妙な出来栄え、あるいは明確な糞映画――そんな状況だったように思います。
 特に洋画がこの傾向にあったと思います。前評判を期待して観に行っては、肩を落として帰ってくることが当たり前になっていました。特に11月以降は酷かったですね。ネットでは無理して褒めているような文章がひたすらに並び、「君は名誉外国人になりたくて、映画を褒めているのか?」と問い詰めたくなったことも多々ありました。
 邦画も邦画で相変わらず酷い映画は作られ続けていますが……去年と同じような比率で面白い映画も作られていましたので、そこはまあ良かったのかなと。邦画も11月以降が不作ラッシュになっていたのが、本気で絶望しかけましたが。

 ともかくとして、今年の総括としては「数年前から自分が言っている傾向が相変わらず続いている」という感想がぴったりでしょう。このブログで2年ほど前から言い続けているように「洋画がだんだん落ちてきており、邦画が回復基調」です。
 この状況が続くと本気で、そのうちハッキリと洋画が見捨てられる時期が来てしまうと思うので、ここらへんで頑張って欲しいと思うのですが――「リブート・シリーズもの」商法がほぼ崩壊しつつあるのに、まだ飽き足りずに続けているところ、本当にヤバいのかもなぁと危機を感じる一方です。

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