映画感想:カンフーヨガ
恒例の手短な感想から
言うほど珍品でもない、普通に楽しい映画
といった感じでしょうか。
去年の年末らへんに、一部の映画好きやツイッターなどで話題になった映画が実はありました。「相当な珍品映画」「変なところしか無い映画」と評する人が多く、とても風変わりな映画があるのだとか。しかも、それがジャッキー・チェン主演の映画であるんだとか。
風変わりな映画ならば、まず見に行くことを信条にしているクソ野郎こと、自分としては観に行かない訳にはいきません。また自分は同時に、そこそこはジャッキー・チェン映画を好んでいる人です。やはり、観に行かない訳にはいきません。
というわけで、観に行った「カンフー・ヨガ」だったのですが……。
いえ、これ想像以上に普通に楽しめるエンターテイメント映画でした。
逆に言うとそこまで風変わりではないです。もちろん、これを風変わりだと誤って捉えてしまう人の気持ちも理解できなくはないのです。確かに、筋書きとしては矛盾点が多いですし、勢いだけしかないようなシーンも多いです。
また、最初の20分くらいは正直、つまらないシーンもあったりします。
しかし、この映画は、そういう風変わりなヘンテコ映画ではないんです。
むしろ、この映画は昔の連続活劇のノリを、現代的にやろうとしている映画というのが相応しい評価でしょう。実際、途中のセリフでインディー・ジョーンズのことに言及していますが、あれはインディー・ジョーンズ自体もまた、そういった昔の連続活劇に影響を受けている映画だからです。
昔の連続活劇は、全体的な話の整合性や、細かい理屈などがおかしい場面が多いものでした。観客をハラハラさせて、笑わせて、興奮させられれば、あとの細けぇこたぁどうでもいいんだよ!――っていうノリで作るのが、普通だったのです。
実はこの映画が無茶苦茶なのは、そのノリを復活させようとしているからです。実際この映画は頭から終わりまで、ギャグだらけです。しかも、ギャグの内容は使い古されたような古典的なものが大半です。そして、ギャグのないところには、ひたすらにアクションとスリルが入っています。
まさに連続活劇的です。
だからこそ、あちこちのシーンが整合性がつかなくなっていたりするのです。むしろ、あえてジャッキー・チェンの趣味で「整合性を付けさせていない」とさえ言っていいかもしれません。彼も連続活劇のファンだからです。
また、インドとの合作であるために、最後に入ってくる謎のダンスエンディングも、よくよく考えてみれば北野武の「座頭市」などでもあったものですし、まあ、この手のエンターテイメント性を追求した映画ではありがちなことです。
なので、本作はそこまで変な映画ではありません。むしろ、伝統的なエンターテイメント映画であると評していいでしょう。ですから、本作は風変わりな映画だけを求める変わり者だけではなく、もっと広い層に親しまれていいはずなのです。
ジャッキー・チェンのアクションも、このブログで去年取り上げた「スキップトレース」と比べると、編集や撮影などの妙もあり、だいぶマシに見えていますし、往年のアクション映画ファンならば一見の価値ありです。
ぜひ、鑑賞してみてください。