儘にならぬは浮世の謀り

主に映画の感想を呟くための日記

映画感想:劇場版 マジンガーZ/INFINITY


マジンガーZ最後の出撃?『劇場版 マジンガーZ / INFINITY』予告編

 

 恒例の手短な感想から

終盤が良かったから、良し、とするかなぁ…………。

 といったところでしょうか。

 

 前評判的になんとなく気になる作品だったのですが、残念ながら自分としては「期待外れ」と言わざるをえない出来でした。そこまで素晴らしい作品とは言い難いかなと……。

 「クライマックスの展開が辛うじて盛り上がる展開だったから、まあ良しとするか……」というその程度の感慨しか覚えられない、どうでもいい作品でした。

 ものすごい単刀直入に言ってしまいますが、この作品の作り手たちは「昔のノリだから」「昔のスーパーロボットだから」という言葉を、作品への作り込みの甘さへの言い訳にしてしまっていませんか?

 少なくとも、僕にはそう感じられる一作でした。

 別に設定の考証を現実的にしろとか、整合性つけろとか、そういうことが言いたいわけではないのです。この作品の全体としての物語のバランスや、話を盛り上げるポイントの入れ方などが、いい加減過ぎるという話をしているのです。

 

 ひょっとすると、これは自分がアニメ版のレッドバロン*1を大好きでいるためなのかもしれませんが、自分にとっては、今作のところどころがご都合主義なくせに、変なところでグダグダグダグダと理屈を説明する、妙なノリがまったく合わないのです。

 あんな複雑な理屈じゃなくて「この力を与えるべきか迷っていたけど、あなたに預けます……」とか「兜甲児が、ピンチに『そうだ!敵の光子力エネルギーも同じ光子力エネルギーなら使えるんじゃないか!?』って思いつく」とか、もっと分かりやすくて、納得のいく理屈を付けられないものでしょうか。

 自分なんか「絶体絶命だけど死ぬ気の根性で立ち上がったー!」で全然良いんですが。それで心の底から「最高だ!」と拳突き出して喜べるんですが*2、なんでこんなにグダグダ理屈付けちゃったんでしょうか。

 

 そもそも、今回の話でゲストとして混ぜられているオリジナルキャラクター……彼女の存在は、どこからどう見ても、2000年台以降のガンダムSEEDに出てきそうなキャラクターにしか見えませんし、実際、彼女絡みの話は量子論やら多世界解釈やら*3謳い文句の「昔のマジンガーZっぽさ」はどこ行ったんだ、と疑問に思う内容です。

 実際、周囲とのキャラクターにまったく溶け込んでおらず、なんだかマジンガーZの映画というよりスーパーロボット大戦の映画を見ているような気分になってきます。それくらい、違う作品から急に連れてきてしまったような容姿です。

 

 このように、どうにも自分にはこの映画の妙なノリは合いませんでした。ただ、戦闘シーンなどが面白かったことや、クライマックスの展開が素晴らしかったことも確かです。

 例えば、板野サーカス的なミサイルシーン等々に代表される、いかにもなリアルロボット作品風の戦闘シーンも、既視感の塊のはずなのに、マジンガーZでやってみると意外と新鮮に感じられることは自分にとっても驚きの発見でした。

 そして、なによりもクライマックスの世界の光子力がどんどん集まっていく展開ーー既存のこの手の「みんなの応援が!」的な展開の作品と比べる*4と、若干雑なところもあるのですがそれでも、やっぱりこういう展開はいいですね。単純に世界が協力するというシーンは、なんだか感動してしまいます。

 

 一部、作画がおかしいシーンや、あと明らかに塗りのレイヤーと線画のレイヤーがズレているシーンなどもありましたが、全体的には良作画であったことも間違いないです。

 

 なので「上記のことをもって、この映画は良しとする」ーー変な言い方になりますが、本作に関しては、この中途半端な感想が自分の感想になるのです。

*1:そんなものあったの? と思ったあなた。あったんですよ! Gガンダムの裏番組だったせいでマイナーだったけど、熱いロボットアニメが!

*2:例えるなら、柴田ヨクサルエアマスターで「屋敷が浸透勁で気を打ち尽くして、もう立ったまま気絶しそう! そんな彼に坂本ジュリエッタの蹴り足がーー! 屋敷、死に物狂いで泣きながら、絶叫して彼の蹴り足をないはずの気で受け止め、そのまま相手の頭に最後の振り絞った一撃!」みたいな理屈じゃない熱い展開とか大好きなんですが

*3:またかよ!多世界解釈!SF関係者はなぜ、量子論の数ある解釈のうち、多世界解釈しか取り上げないのか本当に不思議です!全世界のSFの作家たちは多世界解釈以外を知らないのでしょうか?

*4:ウルトラマンティガとか、ドラゴンボールとか、あと、マイナーどころで言うと、アニメ版の住めば都のコスモス荘とか、数年前の映画版ドットハックとか

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村