2013年の映画、ランキング
今年もついに終わりということで、今年、映画館で鑑賞した映画のランキングを発表したいと思います。
1.ゼロ・グラヴィティ
素晴らしい映画でした。このブログで感想を書いていないので、この場で簡単に感想を書こうと思いますが、僕自身としては「そうだよな! 人生は最高の旅だよな! どんな絶望的な状況であったとしても!」と、とても頷いた映画でした。映像体験もさることながら、その、実はとてつもなく製作者側の熱い主張が隠れていて、そこに圧倒されたといった感じです。また、力学的な考証等、リアリズムに徹していながら、さりげなくセンス・オブ・ワンダーの効いた場面を作り上げられているのにも感動しました。
2.かぐや姫の物語
詳しい感想はすでに当ブログで書いています。ゼロ・グラヴィティがなければ一位でした。
3.百年の時計
こちらも詳しい感想はブログにあります。映画の出来を考えると、他の映画よりはるかに見劣りすることは間違いないのですが、しかし、僕はこれが好きなので仕方ないです。
4.ザ・マスター
こちらも感想を書いていないので簡単に書きましょう。ポール・トーマス・アンダーソンの映画は、基本、(マグノリアが人生ベストであることからも察しが付きますが)大好きなわけですが、今作もやっぱり素晴らしいものでした。登場人物たちが、「ちゃんと考えて、損得勘定等で計算して行動しているのに、どことなく、何も考えていない感じに見える」あの不思議さ。そして、ポール・トーマス・アンダーソンのとても冷静な人生観、世界観がよく現れています。また、内容や音楽が50年代アメリカであり、60年代アメリカを舞台にしたLAヴァイスの前日譚的な話になっているあたり、次回作のLAヴァイスへの期待も高まる一作でした。
5.そして父になる
是枝裕和監督作品は「歩いても歩いても」がかなり好きな僕ですが、この「そして父になる」は僕の中で「歩いても歩いても」を越えたなという感じでした。子役の子どもが、演技をしているのではなく、本当に素のままただ喋っている感じ、子役じゃなくて子どもでいる感じをカメラで見事捉えていると思いますし*1主人公の過去を完全には明かさない語り口の良さ。様々なことを考えさせられる話作りは映画として上等なものではないでしょうか。
6.悪の法則
感想はブログに書いてあります。リドリー・スコットへ献上する6位ではなく、コーマック・マッカーシーへ献上する6位であることは明記すべきですね。
7.ももいろそらを
感想は当ブログの一番初めに書きました。思い深いです。小林啓二監督はなんでも次回作を撮ることが決まったそうで…いやー今から楽しみですね!
8.パリ猫ディノの夜
こちらも感想はブログにあります。最後のマジックリアリズムから、敵のボスが死んでいくシーンが、なんだかんだ言って、僕は忘れられないのです。
9.ジャッジ・ドレッド
ピート・トラヴィス監督は、バンテージ・ポイントを見て以来なんとなく「この人は面白いもの撮りそうだな」という評価を下していたのですが、まさに、本当にピート・トラヴィス監督はそういう監督になりつつあると思います。まだ少々、足りないところがありますが、しかし、映像の撮り方といいメリハリの付け方といい、だんだんと上達しています。これからの成長が楽しみな監督です。そして、今どきの監督でカーアクションがこれほど上手い人も珍しいでしょう。
10.風立ちぬ
感想はブログにあります。宮﨑駿監督作の中では一番好きです。
こうしてランキングにしてみると、「クロニクル/パシフィック・リム/ライフ・オブ・パイ/ルーパー」あたりの洋画が全てランク外というのがなんとも…。しかも、意外にも邦画が席巻しています。ジブリアニメが特段好きなわけではない僕ですが*2、ジブリ二作が入ったのもなかなか意外な結果です。見る前は、風立ちぬは入らないだろうと予想していましたので。
また、今年の映画の傾向を述べると「無」を中心に据えた映画が多かったという印象です。このベスト10内でも半数が「死」あるいは「無」を扱い、「それをどう捉えるか」ということを主題にしている映画だったりします。仏教的な「無我」の概念に強いシンパシーを感じている僕としては、今年は完璧な「当たり年」であったといえるかもしれません。
では、今年公開された映画の映画ランキング、締めくくりとして最後にsyrup16gの「夢からさめてしまわぬように」をどうぞ。