映画レビュー:ジングル・オール・ザ・ウェイ2
『ジングル・オール・ザ・ウェイ2』2014.12.17先行レンタル配信
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目覚まし時計の音が鳴る。その目覚ましを止めるのは、配達のバイトくらいしか仕事をしていない、冴えない男・ラリーだ。目覚まし時計を止めて、再び眠りにつこうとするラリー。しかし、そこに幼い娘のノエルがやってきて「パパ早く起きてよ」と。今日、釣りにいく約束をしていた二人。イカツい容姿のラリーは、大好きな娘を釣りに連れて行く。
釣りをしながら、ふとノエルが口を開いた。
「パパも、ママの結婚式を見に来れば良かったのに。指輪がとっても綺麗だったのよ」
そう、ろくな仕事をしていないラリーは妻・トリシュと離婚していた。ノエルは妻に引き取られている。が、ラリーとトリシュは仲が険悪というわけでもなく、たまにこうして、ノエルをラリーの元へ預けたりするのだ。
「ママが幸せになってくれて嬉しいよ」と、ノエルからトリシュの再婚について問われて答えるラリー。だが、ラリーは嬉しそうながらもどこか不満も持っているような顔。
それもそのはずで、トリシュの再婚相手は有名企業の社長、ビクター・バクスターだったのだ。
もうすぐクリスマスがやってくる中、当然、ものすごいお金持ちであるビクターはノエルにいろんなものを買ってくれる。家には、クリスマス用の絢爛な、相当にお金がないと出来ないような電飾をつけてくれたり等々。
そんなビクターにライバル心を燃やしているラリー。焦りを覚えながら、どうにかノエルのために自分が出来ることはないかと考える。そんな中、ノエルが書いたサンタへの手紙をもとに、ラリーは、どうやらノエルが人気のくまの玩具「ハリソン」を欲しがっているのではないかと推測し……
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ジングル・オール・ザ・ウェイ。映画ファンならば、多少は耳にしたことがあるであろう、シュワルツネッガー主演のコメディ映画ですが、この映画の続編が出たと聞いたら、あなたはなんと思うでしょうか?
「それは期待大だな」「面白そう」「ホームアローン級に面白いって聞いたことある」「こんな時を隔てた続編なんてヤバいでしょ」
まあ、いろいろあると思いますが、自分は「クソ映画の続編って……」と絶句しました。おそらく、同じように思う人もそれなりにいると思います。
そうです。ジングル・オール・ザ・ウェイはクソ映画過ぎて、一周して面白いという評価が付いている、ラジー賞に輝いたトンデモ映画です。
どれくらい、トンデモかというと「基本的に話は矛盾しっぱなし」「登場人物たちが意味の繋がる会話をしていない」「ご都合が連続」「カットの繋ぎがおかしくて、ラスト付近で人が瞬間移動してるシーンがある」とか、話の筋書きはもちろん、編集に至るまで全てがまるでダメという映画です。
その上、合成バリバリの画面でくるくる飛び回るシュワルツネッガー、なんてトンデモナイ絵面までバンバン飛び出すのですから、それは「これは逆に面白い」という評価になるのも納得です。
で、じゃあ、そんなクソ映画の続編だというこの映画はどういう出来なのか――気になる人も多いことだと思います。ハッキリ言っておきます。
この映画、普通に面白いです。
もちろん、欠点がないわけではありません。ちょいちょい入っている、つまらなすぎる、幼稚なギャグなどに文句があったりもします。が、基本的にはこの「ジングル・オール・ザ・ウェイ2」はとても良く出来ています。
ジングル・オール・ザ・ウェイ2とタイトルに付いていますが、正直、内容としては「ジングル・オール・ザ・ウェイ」のリメイクと言っていい内容です。あちらこちらの場面で、シュワルツネッガーの「ジングル・オール・ザ・ウェイ」と同じようなシーンが入れてあるからです。
しかも、本作は本作として独特の魅力があったりもします。主役の父親・ラリー…彼が絶妙な悪人相なんです。
悪人相でフリーターのダメ男なのだけれども、娘を思う良き父親であり、ガサツで怪しい行動もたくさん取りますが、しかし、基本的には善人なのです。このラリーのキャラクターとしての絶妙な善悪のバランスが、ちょっと他の映画では見たことのない感じに仕上がっていて、とても興味深いです。
物語のあちこちで素晴らしい効果をもたらしています。
本作はあのクソ映画「ジングル・オール・ザ・ウェイ」を土台にした上でちゃんと元の「ジングル・オール・ザ・ウェイ」にあった問題点を極めて違和感なく解消し、物語の筋書きをマトモな方向へ上方修正し、かつ、ラストに二人の父親を軸に、父と娘というテーマまで描いてしまっているんです。
これは評価するしかありません。
特に、物語の中盤で、相当にこじれにこじれまくってしまっている人間関係や、いろんな物事が、最後で、かなり膝を打つようなほどに考えられた筋書きで次々解決していくさまは、本当に「この映画最後まで見てよかった」と思えること間違いないです。
軽い気持ちで借りてみてください。鑑賞すれば、かなり満足できる一作だと思えるはずです。