儘にならぬは浮世の謀り

主に映画の感想を呟くための日記

映画感想:スターシップ9


『スターシップ9』予告編

 恒例の手短な感想から

微妙

 といった感じでしょうか。

 

 初めからそんなに期待して観に行ってなかったのですが、やはり、そんなに大した内容ではなかったことに、軽くガッカリしています。今はそんな気分です。

 「スターシップ9」

 タイトルからしてSFの映画で9という数字を冠しており、とても嫌な予感を感じていた*1のですが、中途半端に嫌な予感は的中してしまいました。

 ゴミと言うほどゴミではないけれども、1800円払ってみるだけの内容かと問われると、全くその価値はないと断言できる――そんな感じの微妙なSF映画でした。

 

 まず、この映画には、明かしてしまうと確実にネタバレになる”展開と設定”が序盤に仕込まれています。同時にこの展開そして、設定こそがおそらく、この映画の最大のウリとなっているわけですが……この"展開"がとてつもなく陳腐なんですよね。

 これを言ってしまうと、映画ファンならば確実に、どういう内容か分かってしまうので言いたくないのですが、ハッキリ言って「これ、キャビンをSF映画に置き換えただけだよね」という内容なんですよね。あとは、シャマランの「ヴィレッジ」とか。まあ、探せばいくらでも見つかるような、大変に陳腐な展開が待っているわけです。

 低予算映画にはありがちな設定がそのまま、何の考えもなく使われてしまっているわけです。

 

 しかも、それを勿体ぶるとか、引っ張るとか、そういうこともせずにわりと、すんなり序盤で明かしてしまうわけです。おかげで、この"意外な展開"になっても「な、なんだってー!?」とか、ちっとも思えないのです。「あ、ふーん。そうなんだー。ふーん」と流してしまう程度の感慨しか沸かないのです。

 もっと、このネタバラシの場面を引っ張って、主人公たちの仲を濃密に描くとか、恋愛描写を深めるとか、伏線を張るとか、いろいろやれることはあるはずです。

 しかも、ネタバラシした後の展開も、変にチンタラしていて、ちっとも面白くありません。もっと、意外な展開から更に意外な展開を引っ張ってきて、次々に話を進めていくとか、いろいろやれることはあるだろうに、画面では、主人公がウジウジ悩んでいるだけのシーンが続いていくわけです。

 

 この時点で、相当にこの映画はつまらないわけですが、ここから先も結構につまらないわけです。まず、この映画、あんまり意味のないシーンが多すぎなんですよね。あの主人公を担当してたカウンセラーとか、初めから最後まで「一体、なんのためにこの人出てきたんだ?」と疑問に思わざるをえないほどに、話とあんまり関係がないのです。

 バーで会話している主人公の友人の医者も、わざわざ、話の主軸となっている「計画」に反対している、という描写を入れているのに、これもまったく活かされていません。

 途中、主人公がスラム街っぽいところに立ち寄っているシーンもまったく後のシーンと関係がなく「あのロケーションで撮った映像が勿体なくて、とりえず、どうでもいいシーンにねじ込んでおきました」感が半端ではないのです。

 

 まあ、辛うじて、主人公がとある人を逃したことがバレて「捕まえろ!」という展開になってからは、それなりにサスペンスもあり、面白くなったりもするのです。が、同時にこのサスペンスシーンの登場人物の言動は、どいつもこいつも「お前、微妙にさっきと言ってること違うじゃねぇか!」という状態だったりして、面白いシーンですら変なのです。

 

 オチも、なんというか……「あのさ、作り手の人たち、そいつが人殺しだってこと忘れてない?」とツッコみたくなってしまいました。あれに感動しろというのは、相当に無理があると思うのですが。

 普通に考えたら、あの子、あそこから銃殺される未来しか見えないんですが。

 

 あと、仮に人殺しであることを忘れて、百歩譲っても、あの子も母親と同じで「あの部屋の中でしか生きられない体質」なんじゃないでしょうか。

 ともかく、それくらいツッコみどころだらけで、しかも、何も解決してないオチなわけです。うーん、この映画はもうちょっと構成などを、全体的に見直すべきではなかったのでしょうか。

 

*1:SF映画で、こんな感じで9を冠する映画といえば、そうですね。プラン9・フロム・アウタースペースです

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