儘にならぬは浮世の謀り

主に映画の感想を呟くための日記

映画感想:スター・ウォーズ/フォースの覚醒


「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」予告編

恒例の手短な感想から

これで良い。全然良いからこのままやって。

といった感じでしょうか。

 

 実のところ、巷では今回のスターウォーズに微妙な反応もそこそこ見えたりしていたので、それなりに不安になりながらも、しかし、まあそこまで酷い出来でもないだろうと思いながら、鑑賞してきました。

 スターウォーズの7作目「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」

 悪くなかったです。悪くなかったというか、普通に面白かったです。話としては、ほとんどエピソード4をなぞりながら、ちょっと5の要素と、あと3の要素(意外と巷の反応を見るかぎり、ここに気がついてないひとが多いです)を混ぜながら進行していく内容なのですが…。

 いや、正直、これで十分でしょう。スターウォーズの新作としてはこれで百点で別にいいです。

 過去作に話が似ている――といっても、スターウォーズはそもそも、話の筋書き自体は時代劇のようにフォーマットとして、もうある程度決まっているものであるわけで……。少なくとも、プリクエルの三部作や、様々なゲーム等の派生作品のストーリーを見る限りはそうなっていると考えるのが妥当でしょう。

 ある程度決まっている筋書きの中で、いかにして工夫や、面白い戦闘シーンや、ファンが見たかったであろう対決を入れるかどうかの方に重きを置いてつくることに専念すべきなのです。そうです。スターウォーズは、どこからどう見たって、プログラムピクチャー的なコンテンツであるはずです。

 そう考えると、この映画の出来は悪くないどころか「これで良い」「これがちょうどいい」と言えるのではないでしょうか。誰もスターウォーズに斬新な筋書きなんて求めてないのです。それはプリクエルでの酷評された数々のシーンを見ても明らかなことです。

 また、単純に映画の出来として考えても、そこまで悪い映画ではないでしょう。

 監督はJJエイブラム*1。スタートレック等、様々な作品を手がけている売れっ子監督ですが、正直、彼は映画を作る腕前自体はそこそこ程度の人です。

 僕自身は、スタートレック二作目とかは一応評価していますが、それでも「とは言っても、カメラワークも編集もなんかちょっとダサいなー」というところが残る監督なのです。その程度の人です。

 そして、そのJJエイブラムスとしては、今回のスターウォーズはかなりマトモな出来です。毎回毎回、奇をてらったことをやりたがり、そして、毎回毎回それが妙なほどにダサい印象を覚える出来で、微妙な結果となって終わるJJエイブラムスの過去作群と比較すると、圧倒的にちゃんとしています。

 例のカメラに手ブレしているかのような揺れを足す演出も、ちゃんと理由があるところだけに出すようにしています。JJエイブラムス過去作における、全シーンが馬鹿みたいにグラグラグラグラグラグラグラグラしてた画面からすると、非常に抑制が効いていて、見やすい画面になっています。

 カメラにハレーションが映り込むといったレンズ表現の演出も、ここぞというときだけに使っていて、それだけでも「あ、JJエイブラムスもさすがに、スターウォーズの雰囲気に合わせて自分の作家性を抑えたんだなぁ…」と感心することしきりです。

 その上、コンセプトアートの時点から相当に作りこんだことが伺えるカットがいくつか存在しているのもいいです。初めてレイが登場するシーンでの、廃墟と化したスターデストロイヤー内部の様子や、スターデストロイヤーとその前で佇むレイの対比的な画面等々、本当にまるで絵画のように綺麗な構図で撮られていて(あるいはCGがそれくらい作りこまれていて)これだけでも、僕としては十分に感心させられます。

 そして、本編の内容も、なんとなく自分にとって見たかったシーンが見られるのが嬉しいです。TIEファイターで逃亡する様子や、白兵戦の様子、ライトセーバーを思わぬキャラクターが使っているシーンなど、どことなく「あれ、今までのゲーム版のスターウォーズシリーズの数々も意識しているのかな?」と感じさせるような場面も多く、そうういったところでも、ファンサービスが効いています。

 正直、彼のフィルモグラフィーの中では、一番良い出来の映画と言ってもいいんじゃないでしょうか。

 

 以上、個人的には今回のスターウォーズは、かなり好感触ということで、今後もこのまま面白いままで突き進んでくれたら良いなぁとそう願うばかりです。

*1:そもそも、JJエイブラムスが監督すると分かっているのに、過剰な期待をしていた人たちは一体彼のなにを見ていたのだろう…?、と思うのは僕だけなのでしょうか

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