映画感想:プロメア
映画『プロメア』本予告 制作:TRIGGER 5月24日〈金〉全国公開
恒例の手短な感想から
いかにもオタクコンテンツ
といったところでしょうか
良くも悪くも、いかにも昔のオタクコンテンツというのが、本作に対する的確な感想ではないかと思います。
ただ、アニメであるとか、美少女が出ているとか、そういった面だけでなく、内容の突拍子の無さと、妙なハードSF要素、王道を微妙に外れるストーリー展開ーーなによりも全体的に漂う「変なことをやることを目的として」作品が作られている感じが、まさにエヴァ以降の「昔のオタクが匂わせていたあの感じ」という臭いを感じさせる作品になっています。
表現としては汚い表現になりますが、言うなれば、この作品からは、ほんのりイカ臭い汗が染み込んでいるのが見て取れるのです。
本作、作っている会社があのトリガーで、しかも、今石監督の作品なので、当然といえば、当然なのかもしれませんが……ともかくとして、本作がそういう意味で人を選ぶ作品であることは当然のことでしょう。
特に序盤は、毎カット、視点が移動し続けるカメラ、なんともアクの強いキャラクターたち、オシャレとはとても言えないグラフィティ調のフォント、金田伊功的なあの独特な動きのアニメーションと、トゥーンシェードのCG、それぞれが画面内に同居して、異常に画面がごちゃごちゃしています。
この忙しなさは、正直、自分も「ちょっと、このヘンテコテンションを二時間やられるのは、キツいなー」と思うほどでした。
その序盤の忙しすぎる山場を超えれば、画面は落ち着き、緩やかにストーリーを描いていきますので、序盤を辛抱できるならば、この映画は最後まで見ても良いのではないかと思います。
序盤の後に展開されるストーリーは、なかなかに見どころがあり、山あり谷ありで面白い流れが展開されていきますから。
特にバーニッシュと呼ばれる、不思議な人間たちと、そのバーニッシュの火災を食い止めんとする主人公たちの攻防や、互いに一枚岩ではなく、内部でも様々な軋轢や葛藤がある姿は、たとえ荒唐無稽な話といえども、感情移入できるものがあります。
巷では、本作の設定に「とある漫画からの盗作なのではないか」との疑惑も持ち上がっているようですが、”それはそれ、これはこれ”です。
「盗作だから、面白い中身が急につまらなくなる」ということは勿論なく「盗作だろうと完全オリジナルだろうと面白ければ面白いし、つまらなければつまらない」わけで、本作が面白いストーリーであることは事実でしょう。*1作り手が許されるかどうかは別として、自分たち受け手が楽しむ分には罪はないわけです。
基本的に怒涛の勢いで、話が展開していくこともあって、見ていて欠伸が出ることなどもありませんし、冷静に考えたら不自然な細かいアラも上手く誤魔化しているため、白けることもないのです。
決して、天井を抜けるほど面白いことはないのですが、ポップコーンを片手に満足する分には、十分すぎるほどの映画です。払った値段から損することは絶対にないでしょう。