儘にならぬは浮世の謀り

主に映画の感想を呟くための日記

映画感想:シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア


映画『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』予告編 - YouTube

恒例の手短な感想から。

正直、微妙。

といったところでしょうか。

 

 ほとんど、設定オチというか、出オチというか、そんな類の映画だと思って見に行ったほうがいいです。はっきり言って、話としてはそんなに面白くありません。「実は、ヴァンパイアが現代にも存在していた!それにカメラ初潜入!その私生活を捉えることにしたドキュメンタリー映画!」という体裁で、撮っている、いわゆるモキュメンタリー映画なのですが、この設定以上のことは何一つ起こらないと言っておきます。

 そもそも、この映画、あんまりドキュメンタリーっぽくないです。ドキュメンタリーっぽく撮っているという設定ではありますし、それゆえに登場人物たちがカメラを意識しているシーンなども入ってはいるのですが、それだけです。

 あんまり極端なPOV形式で撮ると画面酔いを起こす人がいるので、それをやめたというのは構いません。別に画面をいちいち、グラグラブラブラさせなくてもドキュメンタリーっぽく撮ることなんていくらでも出来ます。

 ですが、この映画は、そういった、いかにもドキュメンタリーっぽい”生々しさ”、登場人物同士の”作り物とは明らかに違う感じのする間の取り方”や、場面の瞬間瞬間にある、”ドキュメンタリーだからこそありがちな歪さ”のようなものは、一切ありません。はっきり言って、映画が始まってから終わるまで、全ての要素がどう見ても、ただの作り物にしか見えないのです。

 また、では、ドキュメンタリーという部分を抜いた、本編の話はどうかというと、これも……結構微妙です。とりあえず、作り手が真面目なんであろうことはよく伝わってくるのです。ヴァンパイアについても、それなりに調べたし、真面目なりにギャグを考えたんだと思います。しっかりとした映画にはなっていますから、そこを否定するつもりはありません。

 ただ、だからといって面白いかというと、それはまた別の話です。

 むしろ、せっかく変わった設定にしているのに、この映画、あまりにも話が普通すぎるといえます。これだったら、普通にヴァンパイアの人たちに人間の友だちができてしまうという話の、普通の映画にしたほうが、よっぽど面白かったのではないでしょうか。

 ギャグも、一生懸命やってるのは分かるのですが、つまらないです。不謹慎なジョークというのが、僕自身、好きだからこそ言いますが、これは相当レベルが低いギャグです。例えば、とあるヴァンパイアの「人の血を吸うときは飛び散って汚れるといけないから、新聞紙やタオルを敷いてから血を吸う」という設定も、これを要所要所で繰り返せば天丼的なギャグとして、相当面白くなったはずなのですが、この映画では一回しか出てきません。

 この映画、登場人物の性格。設定の変わっているところ。人を餌にしているヴァンパイアという存在。その各要素が全て弱いのです。ユルいというよりも、弱いのです。例えば、世の中には「100歳の華麗な冒険」のような、ユルいけれども、とても面白い映画というのもあります。ですが、この映画は、そういうユルい映画ともなんだか違います。とにかく、弱いのです。なんだか、中途半端なところで全てが終わってしまうのです。あくまで常識的な範囲で、全てが収まってしまっているのです。そこがひたすら惜しい映画だったと思います。

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